アマチュア無線家その他無線でよく言われる「電離層反射」や、「Eスポ」って何?

そんな方々のために、小学生でも理解できるように図解して解説していきます!

入射角と反射角、全反射について。

電波は光と同じく、一定の角度までは電離層で屈折し、そのまま宇宙へと飛び立ってしまいます。
しかし、一定の臨界角を超えた場合は「全反射」が起き、電波がそのまま地表へと帰ってきます。
その後、地表でまた反射され、また電離層で全反射される。

この電波のことを「反射波」と言います。

その上で、空方向ではなく地表に沿って伝わる電波のことを「直接波」と言います。

直接波は、高度が高ければ高いほどより遠くまで届きます。それは、地球が丸いから、球の形になっているからなんですよね。地球が丸いから、より高いところからだとより遠くまで一直線で見えて、低いところからでは地平線に遮られて電波が伝われなくなってしまうんです。

そのように、電波がもう伝われなくなることを「減衰」と言います。

さらに、電離層反射は特定の入射角以上でないと全反射が起きないため、初めての反射が届くまではかなりの距離が必要になります。

この際、直接波が届かなくなった時点から、反射波が初めて届くまでの間の遅滞を「不感地帯」または「スキップゾーン」と言います。ただ、臨界角を超えた場合はほぼ常に全反射が起きるため、この不感地帯は一度反射波が届いたらそれ以降再び現れることは通常ありません。

次に、電波の周波数による特性について説明いたします。

一般的に使われる電波は大きく分けて「HF」「VHF」「UHF」の3種類があります。
これは周波数帯域によって区別されており、3MHz-30MHzが「HF」、30MHz-300MHzが「VHF」、300MHz-3000MHzが「UHF」になります。

ここで、HFはUHFに比べてより波長が長く、よってUHFより単位距離あたりの波長そのもののエネルギー量が多いんです。
そのため、UHFやVHFなどのエネルギーの大きい電波は、電離層をそのまま貫きます。

一方で、HFはそのエネルギーが少なく、電離層を貫くほどの力はありません。だから電離層にほぼ垂直で当たらないとほぼ全てで全反射が起きて、電離層反射がされやすいんです。

直接波だと上記で説明した通り地平線の影響で通信可能な距離がかなり狭いため、遠距離交信のためにはHF帯を使うことがほとんどです。
逆に、人工衛星などとの交信のためには、電離層を全て貫き、そのさらに上空にある衛星まで電波を届ける必要があります。
だから人工衛星との通信には、UHF以上の強力な周波数を使用するんです。

また、VHFは通常は電離層反射が起きませんが、春から夏にかけて形成される場合がある「Eスポ(スポラディックE層)」がある場合のみ、E層で反射されより遠くまで電波が届く場合もあります。
ただし、VHFはEスポの中でも非常に強力なEスポが形成された場合のみ反射されるので、VHFでEスポによる電離層反射が起きることは通常期待しない方がいいかもしれません。

(実際は、「電波のエネルギーが大きいから」と言う説明ではやや説明不足で、電離層の性質や電子密度の関係などを詳しく理解する必要がありますが、電波を楽しむ分ではそこまで詳しい内容はいらないため省略しました。)

最後に、Eスポについてです。

Eスポ、スポラディックE層(Sporadic E layerまたはEsとも呼ばれる)は、春から夏にかけて形成される電離層の一つです。通常よりかなり電子密度が高くなり、通常はそのまま貫く多くの電波を反射してしまいます。

ただ、春〜夏だからといって常に観測されるわけではなく、突発的に発生し、いきなり消えたり、太陽の働きによって全然その密度が変化していくので予測はかなり難しいですね。

Eスポが形成されると、通常はHF帯がその影響を受けます。本来、HFの周波数はE層ではなくF層で反射されますが、Eスポが形成されるとE層で全反射が起き、電波が地表へと帰ってきます。

このことによって、地表との往復にかかる、電波の移動距離が短縮されます。これによって、空気との接触などで散乱し、電波が弱まる「減衰」の現象が起きるまでの、地表での移動距離がより長くなります。

書き方がちょっと難しいですよね。ジグザグにコーンが置かれているとして、目的地までの直線距離は同じ。そのコーンの横幅の間隔が短い方が、より早く目的地までつきますよね。それと同じです。

よって、減衰が起きにくく、より遠くまで電波が届き、地球の反対側まで通信が可能になったりもします。
また、非常に強力なEスポが形成された場合はHFだけでなくVHFまでもが反射したりする場合もありますね。

以上にて、電波についての基本知識について説明いたしました。ちょうどこれからの季節、Eスポが活発になり始める時期なんです。アマチュア無線をこれから始めようとする方は、ぜひEスポでの電離層反射が体験できるHF帯域に足を踏み入れてみてはいかがでしょうか。

ちなみに、上記ではHF・VHF・UHFと説明しましたが、中にはHFよりも波長が長い「MF」もあり、MFは通常からF層ではなくE層で電離層反射したり、UHFよりも上のSHF、EHFなどの周波数もありますが、アマチュア無線において最も一般的に使われる周波数はHF・VHF・UHFの3種類です。

アマチュア無線におけるそれぞれのバンドでの、アマチュア無線のバンドプランとして利用できる周波数帯域は以下の通りです。(日本基準、アメリカなどとは異なります。)

HF:3.5MHz・3.8MHz・7MHz・10MHz・14MHz・18MHz・21MHz・24MHz・28MHz
VHF:50MHz・144MHz
UHF:430MHz・1200MHz・2400MHz

上記のうち、3アマ・4アマは利用できない周波数帯域があります。

3アマ:10MHz・14MHzの送出不可能
4アマ:10MHz・14MHz・18MHzの送出不可能

1アマ・2アマでは周波数帯域の制限はありません。

ただ、通常は「HF」と言ったら7MHz・21MHz、「VHF」は144MHz、「UHF」は430MHzをいう場合が多いですね。

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